【第5話】「人生分岐シークレットベース!」

━━━━前回までのあらすじ

レオナルから貰った「面接練習動画」で、必死にトレーニングを積んだダイスケ。

1日8時間以上の修行で想像を絶するほどの自信が身に付き、面接への恐怖感が無くなる。

「今なら勝てる、早く面接を受けたい!」

気持ちが抑えられず、バーを飛び出し現実世界に戻ろうとするが・・・。

その先に待ち受けるダイスケの運命とは?
レオナルは一体なにをしているのか・・・?

物語は最終決戦へと収束する。

 

「こ、ここは・・・?」

 

センター街の裏路地。少し温くなったファンタを手に持ちながら、俺は道路脇に腰を下ろしていた。

目の前には、何かを忙しなく探している人達。

 

俺はさっきまでバーでメグミさんと面接練習をして、それの達成祝いでカクテルを沢山飲んでて、それから・・・。

 

 

ハッと思い出したようにスマホを取り出す。

 

「2019年8月31日」

 

画面に映し出された日付は、俺があの渋谷に迷い込んだ日付と同じだった。

 

一体どうなってるんだ・・・。

 

 

俺がレオナルやメグミさんと過ごした時間は・・・俺の妄想?
いや、そんなはずは無い。あんなに頑張ったんだ。

 

喉が痛くても、身体に染み込ませるために、何度も何度も死に者狂いで頑張ったんだ。
あのしんどくも楽しかった日々を・・・妄想の一言で終わらせるはずがない!

 

(何か・・・何かあの日々が嘘じゃないっていう証拠がどこかにあるはず!)

 

眉間にしわを寄せ、考え込んでいると、目の前に女性が立ち止まった。

 

 

あれ、もしかしてダイちゃん?

 

 

ビックリして顔を上げると、幼馴染のミホが立っていた。

 

 

お、おう。久しぶり・・・。

 

もしかしてダイちゃんも”青い薔薇探し”?

 

うん、まぁそんなとこかな。

 

 

(あれ、これって以前話した内容と同じだよな・・・。)

 

 

この人混みじゃあ、全然見つかりそうもないよね~。

 

確かにそうだな。

 

完全に以前の会話と同じだった。

もし俺があの8月31日に戻っているのだとしたら、次にミホが発するセリフは・・・。

 

 

 

そういえばダイちゃんは今なにしてるの?

 

 

(やっぱりそうだ!!)

 

本来ならば俺はちっぽけなプライドを守るために「システムエンジニア」とデマカセを言っていたはずだ。
しかし今の俺は、なんとなく嘘をつく気にはなれなかった。
またそれと同時に、もう一つの世界で過ごしたという確かな証拠を見つけた。

 


その証拠というのは「自信だ。」以前の俺ならここで”システムエンジニアとして働いてる”という嘘をついて自暴自棄に陥るのだが、今の俺は違う。

 

 

(今の俺なら、自分がニートであることを伝えられる、勇気があるはず・・・!!)

 

 


鼓動が早くなる。口の中が乾く。汗が手に滲む。

 

お、俺はさ・・・今・・・。

 

 

自然と手に力にが入り、持っていた缶が潰れる。

 

ニートなんだけど・・・

 

 

恥ずかしくて心臓が今にも破裂しそうだ。

 

だけど、転職活動頑張って、
また就職しようと思ってるんだ・・・!!!

 

 

 

思っていたより、大きい声が出てまった。

ざわめくセンター街に一瞬の沈黙が訪れる。

え?っと言った表情のミホの背後には、

ハンカチで汗を拭うサラリーマン。
タピオカを飲むJK。
タバコをふかす大学生。

誰もが手を止め、こちらを見ていた。

 

(あ・・・終わった。)

 

 

この世の終わりを悟り、全身から汗が吹き出る。

 

(完全に嫌われたな・・・。)

 

やる気と正義感とか頑張りとか本当にどうでも良くなった。

 

 

(もう帰って寝たい。誰も自分を知らない場所に行きたい。)

 

そんな感情が頭の中でぐるぐる回っていた。
しかし、こちらを見ている群衆の中から、一人の中年男性が手を叩き始めた。

 

 

「よ、お兄ちゃん頑張れよ!」

 

 

するとその拍手に吊られてか、周りの人達も、ぞくぞくと拍手を始めた。


「頑張れー!」

 

「頑張って!」

 

「これからだぜー!!」

 

 

え、俺はまだ何も・・・

 

 

不思議だった。
まだ何もしていないにも関わらず、なにか自分が凄いことを成し遂げたかのような待遇に、恥ずかしくも、心地よい感情に包み込まれた。

 

大きな声出しちゃってすみません。でもありがとうございます!

 

 

俺はミホの手を取り、群衆を掻き分け、人集りが出来た裏通りを後にした━━━。

 

 

もう、突然大声出すからびっくりしちゃったよぉ~!

 

 

ご、ごめんな!

 

先ほどの行動を思い出すと、あまりの恥ずかしさで死にたくなる。

 

 

でも、ダイちゃん頑張ろうとしてるんだね!

 

 

ミホの反応は意外だった。
ニートだってバレたら、ドン引きされ、一生軽蔑されると思っていた。

 

しかも人前で大声出しちゃうし。

 

 

ま、まぁ。まだ面接練習を頑張ってる段階なんだけどね。

 

 

 

照れ隠しをするかのような口調になってしまったが、内心は弱みを受け入れて貰ったことが凄く凄く嬉しかった。

 

どんな立場でも、前に進んでるだけで偉いよぉ~。

 

そ、そうかな?

 

うん、とっても偉い!だから私も・・・今会社で上手く行ってなくて辛いこともあるんだけど、ダイちゃんのお陰で、頑張ろうと思えた。だからありがとう!

 

そう言って、飛び切りの笑顔を見せて来るミホ。
なぜか心臓の音がこれ以上にないくらいうるさく感じた。

 

あ、もし良かったら、ラインの交換しようよ!

 

そう言って、カバンの中からiPhoneを取り出し、慣れた手つきでラインのQRコードを差し出してきた。
いつもならはぐらかしていた連絡先の交換も、今回ばかしは断る理由が見つからなかった。

 

返事遅いかも知んないけどそれでいいなら・・・。

 

ぴこーん!

 

ありがと!それじゃ、お互い頑張ろうね。バイバ~イ。

 

そう言ってミホは人混みの中へ消えて行った。

 

恋なんて、もうとっくに諦めたはずだったんだけどなぁ・・・。

 

結局青い薔薇は見つからなかったし、ミホにニートだということもバレてしまったが、目の前を覆っていた霧が一気に開けたような、そんな一日だった━━━。

 

 

 

 

 

━━自宅。

うっし。とりあえず求人を探すとするか。

 

 

俺は使い古したノートPCで転職サイトを開き、希望条件を打ち込んだ。

「完全週休2日制」「土日祝日休み」「IT業界」「神奈川、東京」「ルート営業」「未経験者歓迎」「第二新卒歓迎」「年間休日120日以上」「正社員」

 

どれも俺にとっては大事な条件である。
しかし検索結果に出てきたのは、なんと2件。

 

え、こんなに求人数って少ないん?

 

 

一瞬焦りが出たが、とりあえず他の転職サイトを見てみることにした。

 

 

 

 

 

 

全部合わせてこれだけかぁ~。

 

 

首を左右に傾げ、バキバキと音を鳴らしながら伸びをする。
有名どころの転職サイトで検索を掛けてみて、希望条件に合う広告は計21件見つかった。

 

でもまぁこれだけあれば一つは引っかかるだろ。面接はもう得意になったし。

 

 

その日から俺の転職活動が再スタートした。
片っ端から会社に履歴書を書いて応募する毎日。

 

ニート経験がある俺でも、書類選考の打率は3割くらいだった。
面接練習動画のトレーニングによって出来た土台のお陰で、職務経歴書や履歴書はスイスイ書けた。

 

また面接自体も落ち着いて面接官の話を聞いて、的確に答えることが出来た。
ほとんどの質問が面接練習動画で身についた質問だったお陰で、むしろこちらが面接の流れを作っているような錯覚を覚えた。

 

しかし面接自体は上手く行っても、求人情報と異なった雇用形態ということが発覚したり、あまり社風が合わなそうだと感じて、辞退したこともあった。

 

1次面接で速攻祈られることもあった。
厳しい質問にも食らいついたお陰で1次、2次とトントン拍子にくぐり抜け、大手企業の最終面接に辿りついたこともあった。

そして面接を受け続けた俺は最終的に・・・

 

持ち駒と自信が無くなった。

 

やっぱり俺なんか、誰も雇ってくれねぇじゃねぇか・・・。

 

 

面接で上手く話せる自信もあるし技術もある。
なのに何で・・・。

 

もうこれ以上無いってくらい自己分析や業界研究、面接練習をしたからこそ、まさかの結末に悔し涙が止まらなかった。

 

もう無理だ。諦めよう・・・。

 

 

目の前が真っ暗になるとはまさにこのことだった。
そこからは以前よりも堕落した毎日が始まった。

 

現実から逃げるようにゲームとアニメにのめり込む日々。
ネットニュースを見て、youtubeを見て、ツイッターを見て。

何かを見ているはずなのに、次の日にはどんな内容だったか頭の中から消えてしまう。
生きているのに生きていないような虚無感。

 

【手からこぼれ落ちる砂の画像】

 

 

 

 

【紅葉の秋っぽい画像】

 

俺、何やってるんだろう・・・。

 

暦の上では秋になっていた。
庭に出て一人タバコをふかしていると、猫がやって来た。

いつか見た黒猫だ。
しかし薔薇のようなものを咥えている。

 

ま、まさかな・・・。

 

猫が自分の前に落とした青い薔薇を拾い上げると、そこにはURLが乗っていた。

 

これって!?

 

急いで部屋に戻り、PCにそのURLを打ち込む。
するとそこには以下のようなサイトが出て来た。

 

【オススメの転職エージェント】

◆実は転職サイトに載っている求人は、世の中に出回っている求人のほんの一部なんだ。というのも企業は良い求職者を探すために転職エージェントに多額の紹介料を払っている。この紹介料を他の転職エージェントに取られないために、”非公開求人”という形で独占契約を結んでいる。だから良い企業に入るためには、非公開求人をたくさん取り扱っている転職エージェントを利用するのがベストだ。例えばポケモンのゲームで言うと、最初に選択するパートナーが”転職サイト経由”だとヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネの3体からしか選べないが、”転職エージェント経由”だとその3体以外の伝説のポケモンまで色々選べるのだ。つまりホワイト企業に転職というゲームをクリアするなら、選択肢の母数が多ければ多い後者の方が有利だ。
しかし世の中には、自分と性格が合わない人やそもそも持ってる求人数が少ないエージェントも存在する。だからこそ色んな転職エージェントに会って欲しい。色んな転職エージェントに会って、信頼の置ける人と活動を進めるのだ。それじゃあ皆、ホワイト企業GETじゃぞ~。人生逆転プロジェクト COMIP レオナル。【タイプ別オススメの転職エージェント】

 

 

 

 

 

 

サイトに載っていたのはレオナルからのメッセージだった。

 

ということは、レオナルは夢じゃなくて実際に存在してるんだ!

 

絶望しか見えなかった真っ暗闇に希望の光が差し込んだ。

 

 

えーっと俺は第二新卒でニートだからこれかな?

 

 

リンクを開くと、ズラリと国内の有名転職エージェントが載っていた。

 

なるほど、百問は一見にしかずってことだな・・・!!

 

 

俺は何も考えずに全ての転職エージェントに登録をした。
するとその五分後、電話が掛かって来た。

 

はじめまして!転職エージェントの壇ノ浦と申します!戸塚ダイスケさんのお電話でお間違いないですか!?

 

そうですけど・・・。

 

 

いかにも体育会系の男性だった。

 

もしよろしければ近日中にお会い出来ませんか?転職中なら、結構いい求人をご紹介できますよ!

 

え、じゃあお願いします!

 

 

 

それじゃあ・・・

 

 

巧みな話術によって、2日後の火曜日。
渋谷のとあるカフェで壇ノ浦と会うことになった。

 

━━━当日。

 

はじめまして、株式会社ニートリカバリーの壇ノ浦アツヒコと申します!本日はよろしくお願いします!

 

爽やかな笑顔で名刺を差し出すこの男性、年は30歳半と言ったところか?
スーツの上からでも分かる胸筋の膨らみや色黒な肌、黒髪のオールバックといった出で立ちは怒らせたら怖そうな雰囲気を増幅させた。

 

 

戸塚ダイスケと申します。こちらこそよろしくお願いします!

 

 

早速なんですが、転職を希望ということなんですが、ブランク期間は何をされてましたか?

 

 

恥ずかしながらニートをしていました。でもこれじゃダメだと思って、必死に仕事を頑張って、お金を稼いで自分の力で生きたいと思うようになったので、今回応募させていただきました!

 

 

 

んーなるほどなるほど!素晴らしい志ですね!

 

 

はい!ありがとうございます。

 

しかし戸塚さんはブランク期間が一年以上もあって、前職がSEだったということですが、話し方が凄く素敵で営業向きだと思います!

 

え?ありがとうございます!

 

まさか自分が営業向きな人間になっているかなんて想像にもしなかったので驚いた。

 

それでですねぇ。私しか扱ってない非公開求人なんですけど、こちら見てもらえますか?

 

壇ノ浦は目を輝かせながら、ノートPCに表示された求人広告を見せてくる。
それらの求人には、「残業20時間以下」「未経験可」「年収1000万円以上」「面接回数1回」と頭がクラクラしそうな高条件な謳い文句が並んでいた。

 

え、未経験でもこんなに稼げるんですか?

 

もちろんです!不動産業界にはなるんですけど、かなり稼げます!戸塚さんは1000万円あったら何を買いますか?

 

1000万円なんて大金があったら何でも買えるじゃないか!?
ギャルゲーだって、好きなアニメの初回限定生産ブルーレイだって、なんだって買える。

 

想像するだけでぶっ倒れそうになった。

 

戸塚さん・・・大丈夫ですか?

 

だ、大丈夫です!

 

 

で、何か欲しいものは思い浮かびましたか?

 

えっと、今まで育ててくれた親のために、何かをプレゼントしたいと思います!

 

程の良い建前がパッと出てくるあたり、本当に営業向きになってしまったのかもしれない。

 

なるほどなるほど~!それじゃあ親孝行できるように一緒に頑張りましょう!

 

はい!

 

でもこの求人、凄く人気なので、2日以内に応募しないとダメなんです!

 

え、2日以内!?しかも3つともですか!?

 

そうなんです!でも頑張れば間に合うと思うので、戸塚さん運が良かったですよ!

 

しかし常識的に考えてそんなこと有り得るだろうか?さっきはパンチの効いた高条件に浮かれていたが、もしかしたら裏があるかも知れない・・・。

 

あ、あの!

 

はい、どうしました?

 

応募をするために、一旦家に持ち帰って志望動機を考えて来ていいですか?

 

なるほどなるほど~!ぜんぜん大丈夫ですよ!

 

それでは応募書類が完成出来次第メールしますね!

 

はい!なるべく早くお願いしますね!

 

それでは今日はありがとうございました!

 

そういってほとんど頼んだコーヒーの手をつけないまま渋谷のカフェを後にした。

 

チッ!なにが後日だよ・・・クソガキが。

 

━━帰宅後の時間。

レオナルのサイトにアクセスすると、新着記事が更新されていた。

 

【口コミサイト一覧】

転職活動の情報収拾には口コミサイトを利用しないなんてあり得ない。口コミサイトを利用するメリットとしては大きく分けて2つある。1企業の本当の姿が見える。というのも企業が出している求人情報は偽りの姿であることが多い。残業無し→残業申請が出来ないだけ。アットホームな職場→休日に参加必須の行事が行われる。年収1000万円を狙える→過去に一度だけ1000万円貰ったスーパーマンが在籍していただけ。このようにブラック企業は甘い言葉で求職者を騙してくる。これらのトラップを掻い潜るには、口コミサイトで実際に働いてる人の口コミを見ることが大切なんだ。2深い情報収拾が出来る。口コミサイトによっては、面接でされた質問が載っていることもある。変わった質問というのは会社の方針に沿った質問が多く、出題される可能性が高い。また、実際にどんな社風なのかを知ることで、面接で、自分は実際の会社の内情を知ってるし、それを承知で入りたいと思っているといったアピールも出来る。これらの利用方法を駆使して、情報をGETするのだ。とりあえず現状、利用出来る口コミサービスは以下になる。【リンク】◆

 

なるほど、食べログみたいに会社の口コミサイトもあったなんて知らなかったなぁ。

 

 

とりあえず全ての口コミサイトに登録をして、壇ノ浦が紹介してくれた3社の名前を検索してみる。

 

お、あったあった!

 

しかしそこに書かれている内容は「騙された」「実際は手取り18万」「休日出勤が当たり前」「パワハラが横行している」などネガティブな内容が散見されていた。

 

 

え、これって・・・。

 

まさにレオナルのサイトに書いてあった通りの世界が広がっていた。

 

「ぷるるる!」

 

突然鳴り出す携帯。すかさず電話に出る。

 

お世話になっております!本日お会いさせて頂いた壇ノ浦です!戸塚さんの電話でお間違いないですか~?

 

は、はい!

 

本日はお時間を頂いてありがとうございました!

 

はい!

 

それで先ほどご紹介させて頂いた求人なんですが、枠の残りが1名になってしまったので、お早めに履歴書を送って貰いたいなぁと思いまして!

 

え、そうなんですか!

 

そうなんですよ~!もうすっごい人気企業なので!早くしないと枠が埋まってしまうんですよ!

 

へ、へぇ~。

 

(こんな口コミが書かれた企業に応募がそんなに集まるかぁ・・・。いや、そんなはずない!)

 

 

 

でどうです?履歴書の出来は?

 

いや、まだ全然出来てなくて・・・。

 

なるほどなるほど~!じゃあ一緒に電話口で考えていきましょう!

 

いや、そんな悪いですよ!

 

全然大丈夫ですよ!今日お会いして戸塚さんのこと大体わかったので!

 

(は?)

 

あまりのゴリ押しに怒りがふつふつと湧いてきた。

 

 

あの誠に申し訳ないんですが、口コミサイトを見たら年収1000万も貰ってるのって、部長クラスの人だけみたいです。しかも休日出勤が当たり前みたいですし・・・これってどういうことなんですか?

 

 

・・・。

 

壇ノ浦は黙っていた。

 

あの、壇ノ浦さん?聞いてるんですか?

 

す、すみませんでした・・・。なかなか今月のノルマが達成出来ず、正直あまり条件の良くない求人をご紹介していました・・・。

 

電話口から子供の声が聞こえる。

 

「ぱぱ遊ぼう!」

 

・・・。

 

家族を守るためだったらと思って、このようなお恥ずかしい行為をしてしまいました。

 

・・・。

 

もし宜しければ、また求人をご紹介させて貰えませんか・・・?

 

愛する家族のために行なってしまったブラック企業への斡旋。
もし俺が本当に転職してしまっていたら、この人はどうしていたんだろう?

 

たぶん何も感じず次のカモをブラック企業に紹介して人生を狂わせていただろう。

 

申しわけないんですが、お断りさせていただきます。ありがとうございました。

 

あ、あの!

そういってスマホの通話を切った。

 

ふぅ・・・。

 

世の中には裏と表がある。
誰かにとっての正義が、誰かにとっての悪にもなる。大切なのは実際に自分の目で見て、考えてることなのかもしれない。今日は26年間生きてきた中で、一番情報のありがたみが身にしみた1日だった。

 

今日はもう寝よう・・・。

 

初めての転職エージェントとの出会いは失敗に終わった。
でもレオナルの言う通り、中には数多の非公開求人を取り扱う転職エージェントもいるだろう。その人に出会って、一緒に頑張って、絶対ホワイト企業に転職してやろう。絶対に・・・。

 

【第5話】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生逆転プロジェクト COMIP